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「翔子ちゃん?翔子ちゃ~ん?」
私は七原さんの声で我に返った。
余計な事を考えていたせいで、七原さんが声をかけてくれていた事に気付かなかったようだ。
七原さんは私の顔を覗き込むような体勢で、隣に屈んでいた。
「翔子ちゃん大丈夫?お酒、飲み過ぎちゃった?」
「いえ、全然大丈夫です!」
私の怒気に満ちた醜い感情を悟られないように、私は精一杯に明るく返事をした。
すると、七原さんはニッコリ笑って私の隣に腰を下ろした。
「話しかけても気付かないし、すごく険しい顔してたから、飲み過ぎちゃったのかと思ったよ」
「ごめんなさい……。
考えごとしてて、全然気が付きませんでした……。」
「体調不良とかじゃないなら全然いいんだよ。それより、お酒飲んでたみたいだけど、帰りは大丈夫かな?車の運転はしないよね?終電終わってるけど……送ろうか?」
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