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私は七原さんに、家まで送ってもらうことにした。
七原さんの車は黒のセルシオで、助手席に乗ると、エアーフレッシュナーの甘い香りがした。
男の人の車に乗るのは、初めてだ……。
すごく緊張する。
ドキドキというより、ハラハラする。
七原さんは、車を発進させ、最初の赤信号で、タバコを取り出した。
「タバコ、吸ってもいい?」
私が「どうぞ」と言うと、タバコに火をつけ、窓を少し開けた。
「翔子ちゃん、元気ないね。疲れちゃった?」
「少しだけ……」
本当は、アカリさんの態度がショックで元気がないのだけれど、私は疲れのせいにした。
「レインボーはどうだった?これからも続けられるかな?」
私の答えは決まっていたけれど、アカリさんの顔が頭に浮かんで、すぐに返事ができなかった。
「翔子ちゃん可愛いし、夜の商売に慣れてない感じとか、すごく新鮮だから、絶対人気出ると思うんだよね。
他の子には内緒だけど、時給多めに払うよ。
3600円。
ちゃんと指名とボトルバックも払う。
週に何回でもいいから、続けてもらえないかな?」
「仕事には毎日出られます。週1で休みを貰えれば十分です」
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