CLUB rainbow

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「じゃあ、何か他に問題があった?」 そんなこと聞かれたって、言えるはずがない。そんなのは学生時代に嫌と言うほど学んだのだ。 何をされたって、言われたって、些細な事だって、絶対に口外してはいけない。 もしも、口を滑らそうものなら…… 「お前、チクってんじゃねーよ!」 遠い昔の記憶が蘇る。 あの時、蹴られたお腹や殴られた頭がムズムズと気持ち悪い。 「今度またチクったら、こんなんじゃすまさねーからな!」 喉元をグッと押さえられたように、息が詰まって苦しい。 恐ろしさで鳥肌がたった。 「いいえ。問題なんかありませんでした」 私はできるだけ冷静に答えた。 実際、何か問題があったわけじゃない。 ただ少し、アカリさんの気分を害してしまっただけ。
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