偶然じゃなく必然

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しばらくグラスに口を付けたままでいたけれど、間が持たなくなってしまった私は、グラスをゆっくりとテーブルに置いた。 それでもグラスから手を離せずに、新品のハンカチでグラスを拭く。 運ばれてきたばかりのグラスには、まだ水滴なんて付いていないのに。 更におろしたてのハンカチは水分を含むことなどなく、グラスに線を残すだけ。 一度洗ってから使えばよかったな…… ハンカチの糊を逆恨みする。 浅田さんはつぶやくようにポツリと私に話しかけた。 「昨日アカリにライター渡された時、はっきり言っといたから」 「何てですか……?」
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