偶然じゃなく必然

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確かに。 浅田さんにとっては、昨日が私との初対面。 ほんの少しだけど、気に入ってくれたのかな?とか思っちゃってた。 『一途じゃない男の人って魅力的じゃないですよ!』 バカか私は。 一途とか一途じゃないとか、魅力があるとかないとか……。 そんな事の前に、そもそも私に興味なんかなかっただろうに。 超自意識過剰だって思われただろうな。 このままライターを素直に受け取るのが無難だろう。 「……ありがとうございます。大事に使わせていただきます。」 私はライターを見つめたまま、浅田さんに言った。 浅田さんは返事をせず、またポケットから何かを取り出し、私の目の前に置いた。 「これ、ガス」 それは、女性用のデオドラントスプレーくらいの大きさで、ライターと同じマークとGIVENCHYの文字が書かれていた。 「これなんですか?」
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