197753人が本棚に入れています
本棚に追加
いつものように、店員がカウンターまで案内してくれる。
ミノルさんは今日も爽やかな笑顔でシェイカーを振ってるのだろうか?
胸のドキドキが止まらない。
「いらっしゃいませ」
ミノルさんは私の顔を見て、優しく微笑みながらメニューを差し出してくれた。
「スプモーニを下さい」
私は、目一杯の爽やかスマイルでお酒を注文した。
何度も何度も練習したセリフだ。
この日のために毎日イメトレをし、下準備を進めてきたのだ。
スプモーニなんて飲んだこともないのに、ネーミングとレインボーの女の子が飲んでいたドリンクの見た目の可愛さで選んだ。
ただ、ただ、自然に言えるように練習を重ねた「スプモーニを下さい」
噛まずに言えた!
それに、幸い今日の和み屋は暇そうだ。
私という人間を、ミノルさんに売り込むチャンスだ。
「かしこまりました」
ミノルさんは丁寧に答えると、慣れた手つきでスプモーニを作りはじめた。
最初のコメントを投稿しよう!