恋しちゃったみたい

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いつものように、店員がカウンターまで案内してくれる。 ミノルさんは今日も爽やかな笑顔でシェイカーを振ってるのだろうか? 胸のドキドキが止まらない。 「いらっしゃいませ」 ミノルさんは私の顔を見て、優しく微笑みながらメニューを差し出してくれた。 「スプモーニを下さい」 私は、目一杯の爽やかスマイルでお酒を注文した。 何度も何度も練習したセリフだ。 この日のために毎日イメトレをし、下準備を進めてきたのだ。 スプモーニなんて飲んだこともないのに、ネーミングとレインボーの女の子が飲んでいたドリンクの見た目の可愛さで選んだ。 ただ、ただ、自然に言えるように練習を重ねた「スプモーニを下さい」 噛まずに言えた! それに、幸い今日の和み屋は暇そうだ。 私という人間を、ミノルさんに売り込むチャンスだ。 「かしこまりました」 ミノルさんは丁寧に答えると、慣れた手つきでスプモーニを作りはじめた。
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