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「冷たいから!召し上がれ」
店員さんが私の顔を覗き込んで、おどけながらペットボトルを握らせてくれた。
私は精一杯に大きく頷いて、店員さんから水をいただいた。
いただいたと言うより、奪い取ったと言うべきか……
砂漠で遭難でもしたかのようにカラカラな喉を、一刻も早く潤して落ち着きたかったのだ。
水を飲み、深呼吸をし、落ち着いて辺りを見回した。
店内の装飾品がスポットライトに照らされてキラキラと美しい。
パーティー会場みたいだ。
私……、何をやってるんだろう……。
さっきまで、あんなにウキウキしていたじゃないか!
この街で私は生まれ変わるんじゃないか!
急に世界が明るくなった。
目の前に広がる全ての物の輪郭がくっきりと見える。
笑いがこみ上げて、たまらなく楽しい。
理由はない。
だけど全てが面白く感じる。
「もう本当に大丈夫ですぅ。ありがとうございますぅ」
私がニヤニヤ不気味に笑いながら言うと
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