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「ところで翔子ちゃんて、彼氏いるの?」
さっきまで二人で笑い合い、冗談を言っていたミノルさんが、急に真顔になる。
「いないですよぉ……」
彼氏どころか、二十歳を過ぎても処女だなんて、男性の手を握ったことすらないなんて……ミノルさんはどう思うだろうか……?
rainbowで会った若いお客さんの言葉が頭をかすめる――
「処女なんか重たすぎて俺は無理だね~。多少の経験がないと、ヤッてもつまんねーし。マグロ女じゃイケねーよ」
――マグロ女……。痛い響きだ。処女=マグロ女。世の中の常識なのだろう。
処女がいいなんて言う男は、きっと変態か古い人間だ。
あぁ、どうして私はもっと早くに処女を捨てなかったんだろう。
だからといって、今更どうでもいい相手で処女を捨てるなんてできない。
この歳まで処女だったからには、いっそのこと、とことん大事にしたい。
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