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「え!?いないの!?翔子ちゃんマジで可愛いから、いると思ったんだけど。本当にいないの?でもモテるでしょ?」
ミノルさんが私の顔を覗き込むから、恥ずかしくてカクテルグラスから目が離せない。
「本当にいないし、全然モテないです。ミノルさんは?彼女はいないんですか?」
よく言った!
私、よく言った!
気になってたことを聞けたよ!
偉いぞ自分!
「彼女いないんだよ~。欲しいんだけどね。なんていうか、軽く女性恐怖症っていうか……」
「女性恐怖症?」
「うん。怖いんだよね。今まであんまり女関係でいい思い出がなくてさ。女運がないんだよ」
ミノルさんは、私の顔を覗き込むのを止め、伏し目がちに語りだした。
「俺ってさ、好きな女の子ができると、その子しか見えなくなっちゃうんだよ。自分で店を経営してるとさ、金目当てで寄ってくる子も多いし……」
「でも、一途なのって素敵なことだと思いますけど……」
「翔子ちゃんみたいな子になら騙されても後悔しないけどね~」
ミノルさんはおどけてそう言った。
「騙すだなんて、そんなことしません!」
ついムキになってしまう。
ミノルさんを騙すだなんて、私は絶対にそんなことしない。
ミノルさんを騙すような女がいたら、この手で葬ってやりたいくらいだ。
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