頼れる存在に

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左膝を庇いながら、半ベソをかき、仕方なしに枕を取りに行く。 ……ミノルさんに嫌われるようなことをしていないだろうか? 不安で憂鬱で…… 苛立ってしまう。 玄関まで吹っ飛んだ枕の近くには、だらしなくバッグが置いてあった。 落ちているという表現の方が正しいかもしれない。 私は慌ててバッグを拾い上げると、すぐさま中身を確認する。 お財布もある。 携帯もある。 給料袋もある。 無くし物はなさそうだ。 それだけでも、私の不安は一つ解消されたが、泣きそうな気持ちが抑えられない…。 私はなんてバカなんだ。 『明日も会いに来てくれる?』 甘くて優しい声が愛しい…… 会いに行きたい! 今すぐ会いたい! だけど…… 昨日の記憶がないのに、どんな顔して会いに行けばいいんだろう。
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