197747人が本棚に入れています
本棚に追加
/720ページ
私は熱いシャワーを軽く浴び、出掛けることにした。
夜の街は怖い。
財布は持たずに靴下に2万円を隠し、1万円を握りしめてホテルを出た。
私は街灯に引き寄せられる虫のように、ネオンに吸い込まれていく。
平日の夜なのに、人が多い。
やっぱり都会はすごい。
キャバクラ
ホスト
ラーメン屋
看板や雑居ビルを見上げてフラフラ歩いていると、酔っ払いのサラリーマンにぶつかってしまった。
「どこ見て歩いてんだよ!デブ!」
「ご、ごめんなさい……」
私は目を合わさずに謝った。
サラリーマンは「チッ」と舌打ちをして千鳥足でどこかへ消えた。
サラリーマンに怒鳴られ、すっかり萎縮してしまった私は、どこかへ逃げ込みたい気持ちになった。
もうホテルへ戻ろうか…。
その時、
dining&bar
和み屋-NAGOMIYA-
という看板が目に入った。
最初のコメントを投稿しよう!