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椅子に座ると、バーテンダーがメニューを持ってやってきた。
「お飲み物は何にいたしますか?」
「あの……、オレンジジュースを……。」
緊張のあまりに、ろくにメニューを見ることが出来なかった私は、どこの店にも置いてあるであろうオーソドックスな飲み物を選んだ。
「かしこまりました」
バーテンダーはカウンターの裏側で私の飲み物を用意し始めた。
「フードメニューも充実しておりますので、良かったらどうぞ」
生のオレンジを手際良く絞り、グラスにジュースを注ぎながら爽やかな笑顔で言った。
なんというか……
この人は、
すごく
すごく
カッコイイ。
目鼻立ちがはっきりしていてハーフみたいだけど、それでいてすっきりとした印象の整った顔。
上品で、王子様のようだ。
色素の薄い目に吸い込まれそう……。
何それ、反則……。
見とれてしまう。
私は急に恥ずかしくなり、店内を見回した。
ボックス席には客が三組。
二十代後半の女性客が多い。
カウンターには中年の女性が一人座っている。
私がにやけた顔でバーテンダーに見とれてしまった事は、誰にも気付かれていないようだ。
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