下積み

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私は歯を食いしばった。 絶対に泣かない。 「鈍くせぇーな! 邪魔するくらいなら帰れ!」 浅田さんの投げたフライドポテトが顔面に飛んできた。 「すみません……」 顔面にぶつかり、天に召されたフライドポテトを拾いながら、私は浅田さんに謝った。 私がこのレストランで働きだしたのは、テレアポのバイトだけでは生活がキツかったから。 幸いなことに、このレストランは個人経営の小さな店で、従業員は少人数だし、私は厨房で目立たないように黙々と仕事をしていれば良いだけだった。 それに、お金をたくさん貯めたかったし、仕事をしていればお金がかからない。 だって、 夜バイトをしていれば自分の家の電気を使わなくて済むし、飲食店で働いていれば食費が浮く。 自分の生活だけじゃなく、実家に仕送りしなければならない。 友達はいないし、家にはテレビもラジオもなにもない。 働いてる方が楽なのだ。
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