下積み

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あの日のカラオケは、一時間程度で解散になったが、本当は私を帰すための口実だった。 あの後、みんなは私抜きで楽しく青春を満喫したのだ。 だって、私はその数日後、カラオケ店の後の失敗談を泣きたくなるほどに責められたのだから。 マミは彼女たちと同じ世界の住人なのだろう。 私のような人間を見下し、軽蔑し、勝利の快感を何よりも好物とする。 美しい皮をかぶったモンスターだ。 これまでの私なら、マミの纏うオーラに恐怖し、完全にひれ伏していたに違いない。 でも今は違う。 私は今までの私じゃない。 「何見てんのよ! 売るの?売らないの?」 私は強く言い放った。 マミは目をパチパチさせながらビックリした表情で私を見つめた。 巨大なモンスターに、初めて勝利した瞬間だ。 しかしマミも相当な強者で、一瞬怯みはしたものの、最後には私を見下す態度に戻ってしまったが…… それでもあの一瞬、私がマミに勝ったのは事実だ。 大きな進歩じゃないか。 今に見てろよ。 いつか完全に勝利してやる。
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