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私の敵はみんな美しかった。
ツヤツヤの髪の毛に、スベスベの肌。
華奢な指先の爪は、一本も余すことなく端麗に手入れされ、高貴な光を帯びている。
私の手はレストランの包丁で傷付き、指先は水仕事や漂白剤のせいで老人のようだ。
世の中はことごとく不公平だ。
今日は早く帰ろう。
このままここに居たら、劣等感に押しつぶされてしまいそうだ。
ミノルさんが言いかけたことは気になるが、如何せんここはアウェー。
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