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「じゃあ私、お風呂に行ってきますね」
「行ってらっしゃーい」
晶子さんを残し、私は部屋を出た。
浅田さんとベッドの上にいるのを見られてしまって、ちょっと気まずい。
それに「ブラコン」なんて聞いたら、浅田さんを好きだって事、ますます晶子さんに言いにくくなっちゃった。
晶子さんは智恵を応援しているみたいだし……。
そんな事を考えながら、幅の広い緩やかな螺旋階段をのぼると、絨毯が敷かれた広間に出た。
広間には大きなテーブルと椅子が並べてあって、誕生日会なんかもできちゃいそう。
扉は3つあるけれど、中央の暗い色の木目の扉が露天風呂の入り口だとすぐにわかる。
何故なら、温泉マークの描かれた暖簾がかかっているから。
ミノルさんのおばあさんのお茶目な趣味に、胸が温かくなる。
私は、ワクワクしながら扉を開けた。
豪華にしつらえた純和風の脱衣場に、洗面台が2つ。
ドライヤーや使い捨ての化粧水なんかも並んでいて、まるで高級旅館の縮小版みたいだ。
高級旅館なんて行った事ないくせに、と自分で自分を笑う。
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