下積み

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カウンターに戻ると、浅田さんとミノルさんは私を心配し、気遣ってくれた。 なのに明るく笑える元気がなくて(もとから暗いが……)簡単に挨拶をして帰ってきてしまった。 「顔色悪いぞ」 「一人で帰れるか?」 家に着いてから、浅田さんやミノルさんの問いに、もう少しまともな返事をすれば良かったと反省した。 帰り道にコンビニでファッション雑誌を大量に買ったが、今日は読む気になれない。 袋から出さずに枕元に置いた。 薄っぺらい布団に潜り込んで、幼い頃のようにじっと息をひそめた。 寒い 暖房器具を用意しなくては、冬を越せずに死んでしまう。 このボロアパートは寒すぎる。 せめて厚手の布団を買おう。
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