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この街に初めて来てから2年以上が経った。
本当にいろんな事があった。
ブス
デブ
気持ち悪い
鈍くさい
暗い
あらゆる中傷やイジメに負けず、私は頑張った。
疲労で倒れながらも、死に物狂いでひたすらにお金を貯めた。
私は、耐え抜いたんだ。
20歳になると、貯金では足らなかった整形費用を複数の消費者金融で限度額いっぱいまで借りた。
掛け持ちしていたバイトも全てさっぱりと辞めて、私は蛹(さなぎ)になった。
【蛹】に。
私は小さな頃から、蛹が好きだった。
蛹を見付けると、醜い芋虫やゴミのような蛹が、どれだけ美しい蝶になるのだろうかと想像するのが楽しかった。
蝶の一生は、まるで醜いあひるの子だ。
芋虫は醜い姿でこの世に生を受け、他の昆虫や鳥に襲われながらも、何とか生き残った個体は、ただひたすらに葉を食べる。
来る日も来る日も脚光を浴びることなく、耐えるのだ。
そして芋虫はある程度まで成長すると、蛹になる。
蛹になった芋虫は、じっと殻に閉じこもり、体の組織を一度分解し、どろどろの液体になる。
そして蛹の殻の中で、時間をかけて美しい蝶へと変身を遂げるのだ。
まさに、芋虫だった私は蛹になり、外界との接触を避けた。
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