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蛹になった私は殻に閉じこもり、目、鼻、唇、顎、全てを作り替えた。
エステに行き、ネイルサロンにも行った。
美容室で上品な色にカラーリングしてもらった。
体重は、目標の48㎏だ。
そして、ようやく今日!
私は蝶として羽ばたく。
私は新品のワンピースに身を包み、新品のバッグを持って、新品の鏡の前で、モデルのようにポーズを決めた。
晶子さんのように優しく微笑んで、挨拶をした。
「こんにちは、新しい私」
思い返してみれば、このボロアパートに住み始めた時に必要最低限の家具を揃えて以来、この部屋に変化はなかった。
けれど、つい最近大きな鏡を買った。
全身が映る、大きな鏡。
私は自分の姿を鏡に映し、その美しさに満足した。
腫れぼったかった一重瞼は、トイプードルみたいに大きくてクリクリした二重瞼に。
鼻の横にあった見苦しいホクロは綺麗さっぱり取り除いた。
小鼻があぐらをかいたような横に広い鼻は、和服美人がちょこんと正座したような控えめな鼻に。
いつも不満げでだらしなかった唇も、真っ赤なルージュさえ似合うであろうセクシーな口元に。
顎なんかキュッと尖って女優みたい。
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