美しきサイボーグ

5/12
前へ
/720ページ
次へ
自動販売機の角を曲がると、バス停が見えた。 バスはもう到着していて、最後尾の人が乗り込もうとしているところだった。 私は慌てて手を挙げてバス停まで走った。 ヒールは走りにくい。 きっと間に合わないだろうと諦めかけていたが、運転手は私を待っていてくれた。 なるほど。 美人は得をする。 距離的に考えて、運転手から私の顔はハッキリとは分からなかっただろう。 けれど、イイ女から出る雰囲気は伝わったに違いない。 何故なら、芋虫だった頃の私なら待っていてもらえなかったはずだから。 確かにそうだ。 見るからにデブでダサすぎる私がモタモタと走っていても、待つ気にはならないだろう。 しかし、胸元の開いたワンピースをヒラヒラさせながら走ってくる女性なら、待っている価値もあるというものだ。
/720ページ

最初のコメントを投稿しよう!

197747人が本棚に入れています
本棚に追加