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自動販売機の角を曲がると、バス停が見えた。
バスはもう到着していて、最後尾の人が乗り込もうとしているところだった。
私は慌てて手を挙げてバス停まで走った。
ヒールは走りにくい。
きっと間に合わないだろうと諦めかけていたが、運転手は私を待っていてくれた。
なるほど。
美人は得をする。
距離的に考えて、運転手から私の顔はハッキリとは分からなかっただろう。
けれど、イイ女から出る雰囲気は伝わったに違いない。
何故なら、芋虫だった頃の私なら待っていてもらえなかったはずだから。
確かにそうだ。
見るからにデブでダサすぎる私がモタモタと走っていても、待つ気にはならないだろう。
しかし、胸元の開いたワンピースをヒラヒラさせながら走ってくる女性なら、待っている価値もあるというものだ。
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