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私が返事に困っていると、晶子さんは更に続けた。
「お肌も綺麗ですねぇ~!特別なスキンケアとかしてるんですか?爪も素敵!どこのネイルサロンでやってもらったんですか?髪の毛もツヤツヤで芸能人みたい!憧れちゃいます!」
晶子さんの口は、まるで壊れた蛇口のように、賞賛と疑問の言葉を流し続ける。
私は拍子抜けしてしまった。
今まで私の中で絶対的な【美】を誇っていたはずの晶子さんが、羨望の眼差しを向け、まるで何かを乞うような表情で私を見つめている。
目眩がした。
勝利した快感と目標を失ってしまった虚しさが大きな渦のように私を飲み込んだ。
私は決して晶子さんに勝ちたいだなんて思っていなかった。
優しくしてくれた晶子さんと同列に立ち、お姉さん的な友達として接して欲しかっただけだ。
肩すかしを食らったような気分。
「そんなことより、マミって子は今日はいないんですか?」
私は言葉が見つからず、とっさに話題を変えてしまった。
それもかなりぶっきらぼうに。
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