美しきサイボーグ

12/12
前へ
/720ページ
次へ
「い、いいえ!私こそごめんなさい。誉められ慣れてなくて……。マミちゃんとは友達じゃないんですけど、前回来たときにマミちゃんに服を選んでもらったんです。もう一年以上前ですけど……」 「そうでしたか。マミちゃんは一年くらい前に辞めたので、その後すぐかもしれませんねぇ。ごめんなさい。これからは私で良ければ、また是非いらっしゃって下さい」 何をおっしゃるウサギさん…… 私めはあなた様にお会いしたいが為に来ているのです…… ただ外見ばかりを作り替え、中身は幼稚で性悪の[人間らしい心を忘れてしまったサイボーグ]なのです。 というか、あなたに憧れて整形まで決心したんですと言いたくなったが、止めておいた。 「はい!絶対また来ます!今日はありがとうございました!」 私は恥ずかしくなって、そそくさと店を出た。 やっぱり晶子さんは違う。 格が違うのだ。 ただ顔が綺麗なそこらの女とは、そもそもが違うのだ。 私は晶子さんの店から50メートルほど歩いた所で振り返り、晶子さんの店に向かって力強く、けれど小声で「好きです!」と呟いた。 近くを歩いていたサラリーマンがびっくりしていた。
/720ページ

最初のコメントを投稿しよう!

197747人が本棚に入れています
本棚に追加