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早口で急かすように話を続ける男性。
私の返答に対し、まるで答えを知っていたかのように間髪入れずに言葉を切り返してくる。
なかなか逃げるタイミングが見つからない。
足早に歩いてみても、私のスピードに合わせて歩き、しつこく話しかけてくる。
私の方ばかりを見ているせいで、人にぶつからないかと心配になる。
しかしスーツ君はひょいひょいと肩で器用にかわす。
見上げた執念深さだ。
「キャバクラとか……経験ないですから……。」
「マジでぇ?ちなみに今は何の仕事してるのぉ?」
「……レストランで……厨房です……」
何故とっさに嘘をついてしまったのかはわからない。
本当はもうレストランもテレアポもその他全部、何ヶ月も前に綺麗さっぱり辞めてしまっているのに。
男性は予想以上にレストランの話に食いついてきた。
「えぇ~!?レストラン!?もったいないよぉ~!!ちなみに今いくらくらい稼げてる?」
「いや、あの――」
「うちで働けばね、一本も指名がとれなくても、絶対に70万は稼げるよ。ちょっと頑張れば100万は楽に稼げるよ!」
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