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スーツ姿の目の前の男性は、予想以上に歩くのが早い。
私は付いて行くだけで精一杯だ。
勢いだけで働くなんて約束してしまったが、本当にキャバクラだろうか?
もしかして春を売るような店ではないだろうか?
足早に歩くスーツ君の足元を見つめていると、不安と恐怖が沸々と湧き出てきた。
このまま、そうっと離れ、走って逃げてしまおうか……
絶対に追い付かれる……
指先が異常に冷たくなって、手のひらには汗がじんわりと吹き出している。
やっぱり私はバカだ。
私はスーツ君に気づかれぬように、そっと立ち止まった。
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