天才投手

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次郎は少し俯き気味に話し始める。 尾崎「三年前、俺は十波(となみ)リトルのエースだった。そして夏の大会を順調に勝ち、全国優勝を成し遂げた。もちろん幸せだった、野球も楽しかった!あの日までは・・・」 思い出すのも辛い次郎は、両方の拳をギュッと握り締めた。 木田「あの日?」 尾崎「そう。それは突然だった」 三年前━━ いつも通りの練習時間、グラウンドに集合した数人の部員達の前に、監督が悲しそうに姿を現す。 監督「今日でこのリトルは解散することになった・・・」 監督は下を向きながら、残念そうに次郎に告げる。 尾崎「えっ?何でですか!?こないだ優勝したばっかりでしょ!」 次郎は突然のことに、動揺しながら必死な顔で聞く。 監督「しかしみんな来ないからだよ」 尾崎「そういえば、何で来ないんですか!?」 練習時間だというのに、レギュラー陣のほとんどがまだ姿を見せていない。 監督は悔しそうに拳を強く握る。 監督「引き抜きだよ。常陸のリトルに・・・!」 次郎は一気に絶望の底へと落とされた。 ━━━ 尾崎「俺と一緒にエースだった奴も、みんな居なくなっちまった!だからもう誰かに裏切られたくない!もうスポーツはやりたくないんだ!!」 次郎の衝撃の過去に動揺する野球部だった。
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