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鐘が鳴った。新学期最初の授業、1限目の退屈な国語が終わる合図だ。
2限目の化学のまでは10分の休憩時間がある…
僕は教室の空気がどうしても好きになれない。
どうして皆同じように群れを成して固まって…
独りいつも孤立している僕には理解が難しい。
できれば教室にはいたくない。
そう思って廊下にあるロッカーの上に腰をかける…甘い物が好きな僕はいつものように登校時にコンビニで買った飴を口に頬張りながら。
「お、一個もらい!」
いつのまにか隣に彰吾がいた。
「猛、お前いつも飴持ってるよな。だから太るんだぞ。」
勝手に飴を口に頬張りながら、しきりにハイテンションで絡んでくる。
今まで顔も名前も知らなかったのに、何か不思議だ。
2年になって、クラスが変わって…まだ4日しか経ってない。
「文句あるなら食うなよ。お前の為に買ってきてるわけじゃないし…」
小里彰吾と初めてあったのは4日前、始業式の日だ。
その日もやっぱりこんな風に飴を食べながら、ロッカーに座ってた。そこで奴が話しかけて来た。
彰吾は人あたりもよくて、名前くらいは聞いた事もあった。
女子達からもそれなりに人気があって、まるで自分とは正反対。
きっと、僕を見るのは新鮮だったんだろう。
「悪い悪い、冗談!まぁ向きになんなって。」
こういう奴だから皆に好かれているのだと思う。 僕はこいつみたくうまく他人と接する事が出来ないから憧れる部分があった。
「次の時間、化学室だよ。準備しなくていいの?」
自分が何だか惨めに見えてしかたなくて、会話を早く終わらせたかった。
「やっべ!教科書忘れてたんだった。隣のクラス今日化学あったっけ…?」
「わかんない。」
一般的な切り返しだ…。
どうやら、奴は教科書を借りれたみたいで、よかったなどと一息ついていた。
その後、僕等は化学室に向かった。
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