ご主人様とメイド

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突然とことで思考は混乱して、千昭を肩を力一杯に押した。 予想にしなかった抵抗のため、千昭は簡単に尻餅をつく。 「んだよ…」 今までで一番低い声音。 七瀬には何処か聞き覚えのある声で、顔色を一気に変え、蒼白な顔をなる。 唇が、震えるのが、自分でも分かる。 その様子に気づいた千昭だが、謝る気はない。立ち上がって、ポンと七瀬の頭に手を置いた。 「まぁ…こういう事あるから、それを含めて宜しくなーー」 七瀬と、耳元で響く色気をも含む千昭の声。離れたかと思うと、ニヤリと笑っている。 これが彼の本性ではないのかと七瀬は最悪と落胆した。 「ベットは一つしかないが、どうする?一緒に寝るか、それともソファで寝るか」 七瀬は即ブンブンと首を振り、ソファの方に掛けて座る。 その行動に面白い反応だと思いながらクスクスと笑う。 「風呂入ってくる」 そして、千昭は浴室へと消えて行った。 (さっきの声…、やっぱ似てる…。悠くんの言ってたの、本当かな…) 根は優しいなど、先程ので信じ難くなってしまっていた。 風呂上がりのためかウトウトとしてくる。 小一時間して、千昭が浴室から出て来た。髪はまだ濡れたままで、ズボンだけを履いている姿だ。 七瀬はどうしているだろうと部屋を見渡すが見えない。 しかし、静かな寝息が部屋に僅かに聞こえる。 そっとソファに近付く。   近付くと、彼女は丸まって、猫のようにスヤスヤ眠っていた。 その穏やかな寝顔が異様に愛しく思った。 髪に触れようとした時に七瀬は寝返りをうつ。 「風邪引くぞ…」 相手を起こさないように、そっと抱き上げてベッドへと運ぶ。 抱き上げて、驚いた。見た目から華奢で軽いと思っていたが予想以上だった。 布団をかけてやり、暫く寝顔を眺める。 そして、千昭は七瀬に気を遣いソファに向かった。  
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