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◇◆◇
そして翌朝ーー
七瀬はまだベッドの中でまどろんでいた。
そのうち布団から顔を出して寝ぼけ眼をこすり、身体を起こす。背伸びをして周りを見渡すが、部屋の主人である千昭がいないことに気付いた。
(あれ…?あの人、どこ言ったんだろう…)
ベッドから降りると冷たい大理石の床が足をひんやりとさせる。
そこでふと疑問を抱いた。
(そういえば、何でベッド…?)
昨日の記憶を辿るが、最後に自分はソファにいたはずだ。
不思議に思いながら、部屋を見渡す。
自然とソファに歩み寄ると、ソファに千昭が寝ていた。しかし、その姿に赤面する。
(な、何で上着てないのっ)
七瀬はそっと、ソファに近付く。
近付くにつれて規則正しい静かな寝息が聞こえてきた。
千昭が寝ていることをいいことに、しゃがんで寝顔を眺める。
(まつ毛長い…、綺麗な顔立ちだなぁ…)
魅入ったように見つめていると、身近で聞き覚えのある声が聞こえた。
「寝顔を盗み見る趣味でもあったのか?」
(…!!)
七瀬はビックリして、慌てて立ち上がる。
千昭は目を開けるとむくっと起き上がって欠伸をした。
「ふぁ…、まだ眠ぃ…」
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