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朝食を食べ終えた二人は、玄関でメイド達に鞄を受け取って、車に学校に向かった。
途中で恭也と悠を乗せて車は静かに走る。
「おはよう、七瀬ちゃん。制服似合ってるねぇ」
「軽くセクハラだぞ」
「チィくんにだけは言われたくないよ」
「どういう意味だ、そりゃ」
ニコニコしながらも、何処か黒い笑みを浮かべている恭也に、千昭は気に食わないのか突っかかる。
そんな二人を余所に、悠は欠伸をしながら七瀬に朝の挨拶をする。
「……はよ」
悠は言い合う千昭と恭也達を仲介もせず音楽を聴き始める。
なんともマイペースである。
通学途中で、ブランドの通学カバンの中身を見ようと開けると中は筆記用具以外に特に無かった。
早速ホワイトボードを使って、千昭に質問した。
『教科書とかは?』
「学校のロッカーに入れといてある」
「僕たちの学校は特殊でね。あとで教えてあげるね」
恭也にそう言われれば、七瀬は納得して車の外を眺めて到着するのを待った。
痴話喧嘩は簡単に終わると、それぞれ思い思いに過ごす。
千昭は頬杖をついて、外を眺めている。
恭也はというと…見た目とは似つかない程、よく喋る人らしい。さっきから一人でペラペラしゃべっていた。
悠はその横で、ヘッドフォンで音楽を聴きながら寝ていた。
なんとなく居ずらい七瀬だった。
(幼馴染みでも、性格全然違うなぁ…)
大人しい七瀬は人間観察するのが好きだ。
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