ご主人様とメイド

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「恭也…クラスの事、説明しなきゃ…」 呆然とその様子を見ていた悠が思い出したように言った。 「あぁ!!そうだったね。このクラスの通称“Rクラス”と呼ばれていて、“R”っていうのは英語のRoyalの頭文字をとって簡略化してるんだ」 七瀬は少し混乱したが、何とか理解したようだ。 「この学院には特別な制度があるんだ。『チェス制度』って言って、創立者のチェス好きから作られたんだって。それで、チェスにはキング・クイーン・ナイト・ビショップ・ルーク・ポーンの6種類の駒がある」 直洋が教室に飾られていたチェスのセットを持って来た。ガラス製のそれは透明でとても綺麗だった。 (わぁ…始めて見た…) 「自分と相手ので全16個ずつ。キング・クイーンが一個ずつ。ナイト・ビショップ・ルークが二個ずつ。ポーンが八個ずつ」 駒を手に取りながら分かりやすく説明する。 「一年間ごとに選ばれるRクラスのメンバーにはチェスの駒の称号を与えられる。もちろん、権限が一番強いのはキング、続いてクイーン。それから順にナイト、ビショップ、ルーク、ポーン」 『でも、あたし称号もらってないよ?』   今まで黙っていた千昭が恭也より先に七瀬の疑問に答えた。 「お前には、今空席のクイーンの座についてもらう。一学期末に閑が留学しちまったからな。それで、早速今日の集会でお披露目ってことだ」 (えっ?早速今日なの?) 予告もないため、突然決められたことに驚く。 「ぁ、そうか。」 「クイーンは二番目に強いんやで。めっさラッキーやんな。羨ましいわ」 「まあ、事情があるんだよ」 唇を尖らす直洋に恭也が宥める。
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