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夏休みが開けて
二週間後の9月―…
「今日も退屈だったな…」
走行中の車の中で腕組みをして、窓ガラス越しに外を眺め見ながら、ぽつりと呟く。
彼の名は、真瀬千昭(ませ ちあき)。
「………」
千昭の右隣りでヘッドホンを首から下げながらアメを口の中で転がして沈黙している。
彼の名は、六条悠(ろくじょう はるか)。
「またそんな事言って…」
更に悠の隣りにもう一人。呟いた千昭の言葉に呆れたようにため息を漏らす。
そんな彼の名は、三上恭也(みかみ きょうや)。
彼等三人の制服を纏った青年達は今学校から車で下校する途中だ。
文字通りなら、普通のことだと想像するだろうが彼等は一般人とは少し違う。
いや、かなり違うのだろう。
まずは、彼等の乗っている車だ。
その車はワゴン車や常用者ではなく、俗にいう高級車といった部類である。
外装が光を反射するくらい磨かれてるのは勿論のこと、内装はリラックス出来るような心地にさせる素材の座席。
そのことから、彼等が一般人ではなく社会の階級からお金持ちなどの上流階級ということが分かる。
そして、千昭は朝に親父が言っていた事を思い出して、不適に笑みを浮かべてクスリと笑う。
「……どんな奴が来るのかな」
「うわっ…、千昭が笑った…」
恭也は千昭の笑みを見て、ぞくりと悪寒を感じた気がした。
暫くすると、千昭の自宅に着く。彼等は幼馴染みでもあって、家はすぐ近く。放課後は千昭の車で家へ寄るというのが日課なようなものになっていた。
三人は車から降りて、広い庭を歩き、家に向かった。
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