ご主人様とメイド

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すると、恭也がはっとしたような表情をして、提案した。 「あ、そうだ。まだ集会までに時間あるし、全員揃ってないけど簡単な自己紹介しちゃったらどうかな?」 「あ、それいいね!」 「じゃあ、サクッと紹介してこうっ」 「それじゃあ、ポーンから紹介するね」   鈴と愛海が机の間を縫うように移動して、鈴が男子生徒の肩を叩く。 いきなり振られた男子生徒はテンパる。 「さっきも紹介したけど、俺は矢野直洋、五年生!テニスばっかやってたら、こんなに日焼けしてもうたんや。こんなもんやろ。はい、次」 『五年生?』 「あ、この学校は中高一貫だから行事とかでいちいち中等部とか高等部とかややこしいでしょ?だから高校一年生を、四年生で六年生まであるんだよ」 七瀬の疑問に淡々と恭也が説明を補ってくれる。 「ちなみにわたしも鈴も五年生!七瀬も、同い年よね?」 七瀬はコクリと頷く。 そして、直洋は隣の肩にポンと手を置く。 第一印象は猿。坊主で笑うと垂れ目になるのが印象的だ。 少し緊張したように発言した。 「お、俺は野田聡(のだ さとし)ッス!五年生ッス。甘いもん大好きで、イチゴ牛乳が一番好きッス!ぁ、これ口癖ッス」 続いては、男性なのにお淑やかなオーラを発している。珍しい綺麗な長い黒髪を一つに縛っていて肩から前に垂らしている。 胸に手を当てて、ゆるりとお辞儀をし微笑む。少し恭也と似ているが、此方の方が動きの一つ一つがしなやかで品性が高そうだ。 「私は六年の権藤寺薫(ごんどうじ かおる)です。お見知りおきを」 淑やかな薫とは対象的に見た目からいかにも不良です、というような格好をした男子生徒が不機嫌そうに眉をひそめていた。黒髪に前髪だけに赤のメッシュが入っていてワックスで遊ばせている。 七瀬の事をチラリと横目で見ると直ぐに逸らしてしまった。 「………」 「ちょっと大地?何黙ってんのさ」 「アンタの番なんだけど」
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