ご主人様とメイド

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保健室に着くと、中はシーンとしていて、無人の様子だ。 「……っ…」 緊張が解れたのか、自然と涙が溢れた。鼻をすする音がやけに部屋に響く。 千昭は、静かに七瀬を誘導してベッドに座らせる。自分はイスを持ってきて向かい側に座った。 「…………」 こういう時どんな言葉をかければいいのか分からない千昭は黙ってる落ち着くの待つ。 しばらくして、七瀬は落ち着いて、涙は止んだ。 「落ち着いたか?」 七瀬は小さく頷く。千昭をタオルを濡らして顔を拭くように七瀬に渡す。 『ありがとうっ。私…人前に出るのが苦手で…』 「そうか…。集会は毎週あるから、これから特訓だな」 ぽんぽんと千昭に頭を撫でられ、七瀬は少し戸惑ったような表情を浮かべる。七瀬の表情を見た千昭はクスッと柔らかく微笑む。 「さて…そろそろ教室戻るか」 二人は保健室出て、教室に向かう。 身長の差から、自然と歩幅にも差が出る。千昭が前を歩いて、七瀬は2mも間を空いてしまっている。 いくら七瀬が早足になってもすぐにまた間が空いてしまう。 千昭はそれに気付かなく、普通に歩いている。 (っ…は、速い) 七瀬は必死に追いつこうと度々駆け足になる。 「んで、そんなに間あけてんの?」 ふと、千昭が振り向く。不思議そうにキョトンとした様子だ。 数秒考えると察したのか、千昭は少し歩調を落とす。 七瀬は千昭のさり気ない優しさに、何だか嬉しくて安心した。
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