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『どうして大地くんは猫が嫌いなの?』
七瀬はボードを隣の鈴に見せる。
「そういえば…。大地、何でそんなに猫嫌いなんだよ?」
鈴も知らない様子で、大地に聞いた。
「体が自然と反応するんだよ!見るだけでも…っ!」
「あら、赤いブツができるだけじゃない」
「みちるさん、それを世間一般ではアレルギーと言うんですよ」
薫が冷静に指摘する。
「あそ。じゃ一哉は大丈夫でしょ」
「俺は猫は好かん」
キッパリ胸張って言う。
「この間、まあまあって言ったじゃん」
「アレルギーではないが、俺の場合トラとウマというものだ」
「トラウマよ。一体何があったの?」
「この美しい顔に何回も鋭い爪を…」
一哉が言い終えるより前に、教室の扉が開いた。
ドアからは、ストライプのスーツを上手に着こなした二十代に見える男性が入って来た。
「光ちゃん、やっと来たあ!!」
突然百花が嬉しそうに声を上げた。
「お―…今日も元気だな、春原は」
少し長めの癖毛のある黒髪に、少し下げてる黒縁の眼鏡をかけてる。黒のスーツに瑠璃色のネクタイ。顔よしルックスよし、イケメン教師だ。
「北岡?自己紹介しといたほうがいいか?」
少し悩んだが頷いた。
「了解」
先生は、黒板に綺麗な字で『黒澤光夜』と書いた。
「黒澤光夜。26歳、独身。誕生日は9月21日、乙女座のO型。同年代の彼女募集中。担当科目は英語でこのRクラスの担任だ。これからよろしく」
スラスラともとから台本があるように自己紹介を終わらせた。
七瀬は思わず唖然としてしまった。
「光ちゃん、誕生日あと少しじゃん」
「おう」
ニカッと笑う顔はいかにもモテそうだ。
「なんか欲しい物ある?」
「ねぇよ。彼女は欲しいな」
「百花、光ちゃんの彼女なってもいいよ」
百花は光夜先生が好きなのだろうと七瀬は思った。
「遠慮しとく」
「えー何でぇ」
「気持ちだけ貰っとくよ」
眼鏡を外して教卓に置いた。すると、出席簿を持ってこっちに階段を上ってきた。
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