Rクラス

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「………権藤寺…悪いが、残りの出席とっといて」 「残念ながら、六条で最後ですよ」 「ああ…そうか」 薫は普通に言っただけだが、今の黒澤先生には少しキツい言い方だなと七瀬は思った。 すごい落ち込みに似たオーラを放つ黒澤先生。 直洋の前の先生用の机に出席簿を置き、ドッと椅子に座った。頭を机に伏せた。 「俺の…俺の良心が許さなかったんだ…」 「光ちゃん…わかるぜ!」 直洋が手を伸ばして、ぽんぽんと肩を叩いて慰める。 皆はまた餌食になったという顔をしていた。 「やられたな…」 一人だけ千昭がクスクスと笑っていた。 七瀬ははっと思い出す。前に悠は“小悪魔”だと言う理由が。その意味がやっと今わかった。 悠は確かにもともと可愛い顔をしている。 いつも無表情だから、そんなに可愛いとは思わないが、彼は自分に利益をもとらす時に利用するのだ。 (なんてずる賢いんだろ。悠くん…本当に小悪魔だ…) しばらくして、黒澤先生が立ち直って、思い出したように紙を取り出した。 「真瀬、教頭からの依頼だぞ、と」 直洋に紙を渡し、直洋は後ろへ回していき千昭の手元に届いた。 「………大地には少しキツいな」 千昭が内容を見て、ニヤッと笑った。 「あ?」 「どれどれ…?」 何故かと大地が振り返って不思議そうな表情を浮かべる。 また、恭也がその紙を覗き見した。 「なるほど」 内容を読み終えた恭也もクスクスと笑った。 そして、七瀬の机に紙を置いた。 (クエスト…?) 「Rクラスは生徒会の活動の義務があるんだ。それでこれはクエストと言って、依頼したい事をこの紙に書いて光夜先生に渡す。と、僕らがそれを解決。でも恋愛とか人間関係についてとかは叶えられないけどね」 「当前。他人様の恋愛やらに何故俺たちがいちいち手伝ってやらなきゃいけねーんだよ」 「内容読んでいい?チィくん」 「………」 「わかったよ。…千昭」 「あぁ、任せる」 「んじゃ」 恭也は机の上にある紙を手にとり、前に出て内容を発表した。 内容は、白い猫が最近学園内に住み着いてるので、どうにかして欲しいというのだった。 「ネ、コだと……!?」 それを聞いた途端に大地と和哉が顔色を変えた。 「そうだよ。“全員”で、捜索だよ」 「嫌だ!!」 「はい、駄々こねな―い。さ、早速行動開始!行った行った」
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