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皆、立ち上がって次々と教室を出てった。大地だけがまだ座っていた。
「まあ、みんな頑張れ」
「アンタも行くのっ!!」
みちるさんが大地の耳を引っ張って、強引に連行していった。
「イ―ヤ―だ」
駄々をこねる子供ようだ。
見ていると思わず笑ってしまう。
◇◆◇
大地をなんとか連れ出したみちるさん。皆はそれぞれの場所にバラついて、手配書の猫を探していた。
みちる達はまず体育館裏へ。
「ほら、ちゃんと働くっ!」
バシッと大地の肩を叩く。
「ってぇよ!人の気も知らないで…」
「あ?私に口答えする気?分かってんの、アンタの弱味握ってんのよ?」
(うわ…もはや脅迫だよ、みちるさん)
大地のことを少し気の毒に思う七瀬だった。
七瀬は体育館の近くにあるプールへと移動した。
そしてプールと柵の間を通って、プールの柵下にある隙間を覗いた。
(白い猫だよね…)
通気口らしい穴から、キラッとする光る二点がチラリと見えた。
更には。
ミャァ~
(っ!今の声はもしかして…)
手を伸ばして近付こうとすると、勢いよく何かが出てきた。その物体は皆がいる方に逃げて行く。
(待って!)
すぐに立って追いかける。見つけたのに皆を呼べないもどかしさ…そんな自分に少し苛つく。
走り出すと、猫も角を曲がって逃げる。七瀬も追って角を曲がると、少し前には千昭がいて、白い猫を抱いていた。
「…は?」
七瀬は急には止まれなくて、そのまま千昭と衝突してしまった。
ザブーン!!
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