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そして、そのまま千昭も足場を崩し
大きな水渋きをあげながら背後の池に二人は落ちた。
幸いにも池は綺麗だった。
二人ともびしょ濡れで、千昭の腕に抱かれた猫は知らぬ間に腕からすり抜けて、池の淵で身体を震わせて水を撒き散らす。
「………テメェ、七瀬」
声を震わせながら、ピクピクと眉が動く。
(…あ、や、ヤバい…)
七瀬は慌てて、ごめんなさいごめんなさいとペコペコ頭を下げて謝る。
「よくもやらかしてくれたな、おっちょこちょい…」
ミャァ~
「何なに?何が…起きたの…?」
水渋きの音を聞いて、皆が集まってきた。二人の状況と猫を見て、プッと噴出した。
「アハハハハハハハ!!」
「良かったね。綺麗な池で」
皆で教室に戻り、千昭と七瀬は風邪を引かないようにジャージに着替えた。
七瀬は今日、ジャージを持って来てなかったので鈴に貸してもらった。
例の白い猫は保護し、今は教室へ。
「マジありえねぇ…アハハ!!」
直洋はまだ笑いが止まらず、涙が出るくらい笑ってる。
千昭は直洋を睨む。
「はあはあ…、悪いとまんねぇ」
「でも、どうしてこんな事に?」
「知らねぇよ。猫が飛び掛かってきて、次にいきなり角からコイツが出てきて、ブレーキかけられなくて…」
「ドボーン!ってか?ウケるっ、アハハハ!!」
「ちょっと黙って」
恭也がどこか黒いオーラを漂わせながら、にこりと笑みを浮かべながら直洋を威圧する。
「わりい、わりい」
「まぁ七瀬も悪気があった訳じゃないんだし、許してあげてよ」
愛海が七瀬の髪をタオルで拭きながら言う。
(愛海ちゃん…ありがとっ)
七瀬が見上げると愛海が微笑んだ。
「やっぱり、少し大きいね」
鈴がジャージ姿の七瀬を見て呟く。七瀬には少し大きかったらしく、腕がすっぽり入って、3センチぐらい余っていた。
「七瀬が小さいんだよ」
(ぅ…、気にしてるのに…)
「あ、気にしてた?ゴメンゴメンっ」
千昭が七瀬に近付き、耳打ちした。
「帰ったらお仕置だな」
ゾクッ
寒気を感じる。七瀬はため息を吐いて、帰宅後の自分を心配した。
「どしたの、七瀬」
首を横に振ってなんでもないと表す。
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