Rクラス

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「ただいまー」 「んで…な、何で俺まで…」 そこへみちると大地が帰ってきた。泥んこの猫を洗いに行っていたのだ。 大地の腕などにはアレルギーの炎症が起きて蕁麻疹が起きていたのは言うまでもない。 「可愛いー!」 女子たちはみちるの腕に抱かれた猫に近づく。 「なんだか品のありそうな顔立ちをしてるね」 「確かに、そんな気がするわね」 鈴の言葉にみちるや他の女子も同意し、うんうんと頷く。 「そういえば、この子どうなるのぉ?」 「野良の場合、貰い手がいなかったら保健所行きってことになるな」 百花の疑問に、黒澤先生が冷静に答える。 一気にクラスの雰囲気が暗くなった。 猫は隙を見てみちるの腕からすり抜けて、七瀬の膝の上へと移動した。 「七瀬のとこがいいみたいだね」 愛海が微笑ましげに眺めて言う。七瀬はなんだか嬉しくて表情が緩み猫の頭を撫でる。 「まあ、お前に何となく似てるからじゃね?寝相だって丸まって、小さかったしな」 (うぅ…背が小さいのはコンプレックスなのに…) 千昭の意地悪な笑みに七瀬はムッとした表情を浮かべる。 (出来れば飼ってあげたいな…) 「飼うか」 皆が驚いた。まさか奴がこんな事言うなんて…。 「チィ…くん?大丈夫?池の水にやられちゃったのかな?」 「やられてねぇよ。バーカ」 「じゃあ…どうして?」 「…別に。ただ大地の猫嫌い克服も含めて良いと思って、な?」 「こ、んの…鬼畜!俺はアレルギーなんだぞ!嫌いだけで済む問題じゃねぇ!俺は反対!!」 「アンタ保健所がどういう場所か分かってんの?」 みちるさんが、猫を抱き上げて大地に近付けた。 「ヒッ……わ、分かったから。それ以上近付けるな!」 「やった!じゃあ早速この子の名前をつけてあげなきゃっ!」 みちるが言い出し、皆でこの白い猫の名前を考えることになったのだ。
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