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「なぁ、藍宮、松山」
「何ー?」
「ん?」
鈴はスプーンを口にくわえながら、応答する。
「悪いが、七瀬の携帯を一緒に買いに行ってやってもらえないか?」
(え?)
「携帯?え、七瀬、携帯持ってないの?」
「ああ。服は親父が用意してくれたんだが、携帯を持ってないようだからな」
「そうなんだあ。わたしは別に用事ないし、全然平気だよ」
「あたしも平気」
「じゃあ、頼むな。あ、そうだ…悠!」
「何―?」
出口付近から悠が答える。
「ちょっと来い」
「えー、…面倒臭いなー」
「いいから!」
悠は渋々やってきたような表情を浮かべ寄ってきた。
「何…」
「これを託す。無くすなよ」
そう言って、輝く“ゴールドカード”を渡す。
「意味がわかんない…」
「恭也と悠。一緒に行け。どうせ暇なんだろ?」
「え?そんな、急な…。まぁ、暇なのは確かだけど」
「俺は別に…」
「じゃあ、お前らに頼んだぞ。俺は今日、糞親父の手伝いあっから」
千昭はそう言い捨てて、手をヒラヒラさせながら行ってしまった。
◇◆◇
放課後になれば、七瀬は愛海、鈴、恭也、悠に連れられて携帯ショップへとやってきた。
皆でどんなのがいいか品定めしてくれる。
「今時はやっぱりスマホとか、かなー?」
「でも、携帯を持ったことないのに一台目がスマホはどうだろう」
「………」
「ほら、悠も参加しないと」
愛海たちは真剣に悩み七瀬に、これはどうかと提案してくれる中で悠は眠そうに欠伸をしてぼーっとする。
「あ、これは?スライド式だけどデザインはシンプルで可愛いし。タッチも対応しててカスタマイズも豊富」
「ボタンも押しやすいんじゃないか?」
「七瀬、これはどう?」
愛海から渡させれた携帯を手にとってみる。
サンプルで、愛海たちにメールや電話、アドレス帳などメニューを教えてもらう。
七瀬は、操作してみてデザインからも結構気に入った様子を見せる。
『これがいい!』
「うん、僕もそれいいと思うよ。ね、悠」
「…いいと思う」
「じゃあ、決まりだね!色はどれにする?」
「黒、白、水色、赤があるけど」
四種類の中から七瀬は白と水色とで悩む。
「白。白が七瀬っぽい」
悠の一言で白に決定した。
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