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七瀬は鈴、愛海、恭也、悠とで話していた。
「そういえば、三上くん達はどこ行ってたんスか?」
聡がもぐもぐと料理よりデザートを体力に食らいつきながら尋ねてきた。
「七瀬ちゃんの携帯を買いに行ってたんだよ」
「え、もしかして今まで携帯持っとらんかったんか?」
七瀬がコクリと小さく頷いて見せる。すると、聡と一緒にいた直洋が驚いたように目を丸くした。
「そうなんだあー。じゃあ、初携帯の記念にお兄さんとアドレス交換しないかい?」
どこからともなく一哉が現れて、どこぞのホストのように地面に片膝をついて七瀬に向けて自らの携帯を差し出した。
「駄目よ。最初に登録するアドレスがこんなチャラ男だなんて、絶対後悔するから!」
みちるまでやってきて七瀬を一哉から離れさせた。
「そうだ!買ったばかりなら、アドレスもまだデフォルトなんでしょ?今自分で変えちゃいなさいよ」
七瀬は説明書も読む暇もなかったため、まだ何も機能を試していなかった。
みちるが丁寧に教えて、七瀬は戸惑いながら基本の機能の使い方は理解したようだ。
そして、本題のアドレス変更。
七瀬は自分では結論が出ずに、女子たちに相談した。
『どんな感じにしたらいいのでしょう?』
「典型的なのは好きな言葉だよな」
「最近は簡単な顔文字を入れる人とかいるし」
鈴と愛海の意見を聞き、なるほども理解する。
「好きな人の誕生日とか入れたりするよねー」
「そういえば、百花ちゃんのアドレスはそうだったね」
百花と雫のやり取りから、百花のアドレスはどうやら例の人の誕生日が入ってるらしい。
数分悩んだ末に七瀬のアドレスは完成した。
seven-water1227@△◯★.ne.jp
「七瀬っぽい!シンプルだし、いいじゃん」
愛海たちは七瀬らしいと褒め、七瀬は嬉しくなった。
「遅れて悪い」
そんな時に、千昭がやっと到着してきた。
「遅いやないかー。何しとったねん」
「クソ親父の雑務だよ」
直洋に軽く返事しながら、千昭は一直線に七瀬の元にやって来た。
「携帯買ったんだろ。よこせ」
え…、と七瀬は呆然としていると、七瀬の手に携帯を握られているのを発見したのか、簡単に千昭は七瀬の携帯を奪った。
何をするのかと心配そうに見ていると、何か打っている。
「目、一分閉じてろ」
何故かと首を傾げる。
「いいから早く」
七瀬は渋々目を閉じて待つ。
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