3020人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
「何故だ?」
「そこまでは分かりません」
「そうか」
千昭はソファに座りながら縮こまっている七瀬に静かに近付き、向かい側のソファに座った。
恭也と悠もそれに続いた。メイドが紅茶を運んできて、それぞれに配った。
「北岡七瀬?」
またビクンと反応する。
「本当に喋れないのか?」
七瀬はコクンと頷く。
「そうなの?」
恭也は驚いて、不思議そうに七瀬を見る。
「紅茶…飲みな?」
何だか空気が重くなったと思い、恭也はニコッと笑みを浮かべて七瀬に優しく話し掛けた。
勧められて、七瀬は慎重にカップを手に取るが、カタカタと食器音が鳴る。
そっと紅茶を口に運ぶ。
「……っ…!」
熱かったのか、すぐに皿にカップをのせて、舌を出して、手を首に添えた。
「彼女に水を!!」
「ただいま!」
慌てて和臣がすぐに水を取りにいく。
最初のコメントを投稿しよう!