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その光景を見てた七瀬は、千昭が怖い人間なのかと思い、身体を震わせているのに悠が先に気づいた。
「怯えさせちゃダメじゃん…」
悠は責めるような視線を千昭に向けた。
「俺のせいかよ。……、ほら七瀬。俺の部屋行くぞ」
しかし、七瀬は身体を硬直させて一向に動こうとしない。
千昭が腕づくで連れて行こうと思い足を踏み出した瞬間ーー、
「北岡…おいで」
悠が優しく語り掛けた。
すると、七瀬は躊躇いながらもボストンバックを持って、テコテコとやっとついてきた。
千昭と恭也は有り得ないとでも言うような顔をする。
そんな二人の反応が気に食わないのか、ギロリと悠が睨む。
「何?」
「七瀬は俺はこんな悪魔ほど悪い奴じゃないぞ。いいか、悠ほどダークな奴はいないからな」
(悪魔?)
理解不能といった七瀬は首を傾げる。
七瀬は悠を見て悪魔とは思わなかった。
恭也がまぁまぁ、と千昭の背中を押しながら部屋に向かった。
部屋に着けば、荷物を置いて七瀬は部屋を見渡す。
「ほらチィくん、自己紹介しなきゃね」
「“チィくん”はやめろっ!ったく…俺は、真瀬千昭。16歳」
相手が自分と同じ年だと知り、七瀬は目を丸くする。
(……同い年に見えない…大人っぽい)
「僕は、三上恭也。僕の家は医者の家系なんだ」
愛想の良い笑みを向けてくる。
そして、残っている悠に視線を向けるが何も言い出さない。
「で、コイツは六条悠。見た目の割に腹黒い奴」
千昭が代わりに悠を紹介した。
「僕たち幼馴染みなんだ」
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