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白塗りの大きなタンスを指指す。
七瀬はタンスに駆け寄り、一番上の引き出しを引いた。ここには下着が入っていた。
そして五つの引き出しを順に引いて行って中身を確かめる。
(すごい…、可愛い服ばっかり)
今までシャツにジーンズというラフ過ぎる格好ばかりで今時の服装など着たことがなかったため、感嘆を漏らす。
「タオルは、浴室にあるから」
七瀬は着替えを抱えて、浴室に入っていった。
それを見送り、千昭は深く息を吐く。
何の変化もない毎日に、一つの変化。
退屈ではなくなるのではと、ふと考える。
「まず慣れてもらわなきゃな…」
小一時間して七瀬が風呂から出て来た。ピンクのドット柄のパジャマ姿に、乾かしたばかりの髪は癖っ毛なのかふんわりとしていた。そんな姿に無意識に千昭はドキリとした。
「七瀬、ちょっと来い」
言われた通りに七瀬は千昭に近づく。
「なぁ、お前は…俺のメイドだよな?」
コクリと頷き、七瀬は長身の千昭を見上げるように顔を上げた。
その上目遣いに千昭は可愛いと心中思いつつ、気持ちを抑える。
「メイドって、ご主人様の言う事はなんでも聞くんだよな?」
再び頷く。
「でも、お前は俺を怖がってる。それじゃ俺が困るんだよ」
(まぁ…確かに見掛けは怖いけど、本当は優しいのかも…?)
俯いて考え出す。
先程悠に言われた言葉を思い出して、第一印象よりかは優しいのではと思った。
「いくら、何もしないといっても我慢できるほど俺は真面目じゃない。だから…、」
色々考えてて、千昭の言葉が耳に入らなかった。
いきなり千昭に顎を掴まれたかと思うと持ち上げられて、気付いた時には唇に柔らかな感触と、離れていたはずの千昭の端正な顔が至近距離にあった。
「…っ…!」
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