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ふらふらの足取り
地に足が着かないと言うか、感覚がほとんど無い
寄りかかる様に壁に手を付き、ノロノロと足を出す
廊下に出て向かった先は、アキの寝室の前
ノックするつもりはない
起こしたくないし、何より、今の姿を見られたくないから
だけど
だけど、今一番、側にいて欲しくて
扉越しでも、其処にアキが居ると思えば
「ひぐっ。うえっ」
嗚咽は、静かな廊下に響く
あれほど涙が流れたのに、まだ足りないらしく
「うえっ、うっ、うっっ」
幾度も零れ落ちる
扉に凭れかけ、タオルケットで体をくるみ、クッションの上に座り込む
痛み続ける下半身、手首は布や空気に触れる度にピリピリと痛み、先程までの苦痛と恐怖を忘れる事が出来なかった
寒いのは、心なのか、体なのか、両方なのかわからない
只、震えが止まらなくて、体を抱えながら、ずっと治まるように耐えた
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