何万光年先への想い

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 それにしても、流れ星に三回願い事を言うと願いが叶う、という言い伝えは誰が考えたのだろうか。流れ星が見えている間に、三回も同じ言葉を発する事など不可能なのだ。だって、あっと言う間なのだから。  僕が断言しよう。  そんな事、絶対、無理だ。  仮に、例えばそれができたとしよう。  万が一、そうならば、それを行った人は願いが叶うだけの努力には値する、と僕は思う。  一文字に相当する言葉の量しか話せないのだから、三回も願い事を言える人なんて、たいそう才能と努力を兼(か)ね備えた人間に違いない。  神様もそんな努力をした人は見捨てないのではないだろうか。  まぁ、あくまでも"仮に"の話だけれども。  少し好奇心が疼(うず)いてきた。僕の中の何かが「試してみろよ」と、僕の心を突っつく。  だんだんと、その何かの力が強くなってきた。もはや、突っつくという生易しいものではなく、ど突くという高次元。  不思議な気持ち。  それをしてどうこうなる分けでもないのに、その行動の向こう側には何かありそうな気がしてならない。  勿論、願い事が叶うなんて思ってないし、そんな事で叶う様な安い願い事じゃない。  何か別のもの。新たな可能性が広がるような気がして、次の第一歩を歩み始めれるような気がして。  願い事を言ってみよう。  次に待つ流れ星に向けて、精一杯の想いを込めて。  二度ある事は三度ある。そう思いながら僕は待ち続けた。  そこに静止しているみたいに星はその位置を変えず、時間だけが淡々と過ぎていく。  海の唄声はだんだん優しくなり、夜風が運んでくる潮の香りは少しずつ薄れていった。星の輝きは衰えもせず、真夜中に近づくにつれ輝きが増していっているようにも見えた。  そんな時だった。三度目が現れたのは。  またもや不覚にも「あっ」と、声を上げてしまった。もう今日は諦めかけていた事もあり、注意不足だったせいかもしれない。  しかし、流れ星に気を取られて願い事を言うのを忘れていたわけじゃない。ちゃんと覚えている。  直(す)ぐさま目を閉じ、流れ星に向けて言葉を口にした。  
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