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ジワジワ流れ出る汗。窓から聞こえる蝉の大合唱。
「あっつ~~・・・。」
扇風機では追いつかないくらいの暑さに弱音を吐きながら 一ノ瀬 南 (イチノセ ミナミ)は机の上にある膨大な量の宿題と闘っていた。
時折、窓から入ってくる風に涼しさを感じながら黙々と問題を解く。
高校生になって二年目、、、
正直ここまで宿題が多いとは思わなかった。
南の成績は悪くない。
だけど自分より頭のいい人なんて数えきれないほどいることを、高校に入ってからひどく痛感させられた。
(頭のいいヤツなんていっぱいいるんだよなぁ。つーかそういう人達は皆頭のいい学校行けばいいのに!)
心の中で悪態をつきながら、“頭のいいヤツ”で連想していると、1人 顔が思い浮かんだ。
(あいつ・・・帰ってきてるかな?)
今は遠くの名門校に通っていて、普段は寮生活だから家には連休や長い休みの時しかいない。
小学校の頃から犬猿の仲で、お互い相手のことを快く思っていなかった。
南は、あいつのことをライバルだと思っていたけど、あいつにとってはライバルに値する程でもなかったのだと思う。
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