16人が本棚に入れています
本棚に追加
その瞬間、美桜の目はその男の子に釘付けになった。
風になびく髪。
整った顔。
ヴァイオリンを弾くその姿を“綺麗”と思ってしまえる程だった。
そして何よりもその音色に、美桜はとらわれたかのような感覚に陥った。
「♪♪―♪・・・・。」
ふいに音が止まった。
男の子の目は美桜の方を向いていた。
「・・・・・何?」
冷たい声が店内に響いた。
「あっ・・・あの、今さっきの曲って・・・。別れの曲?」おずおずと美桜がたずねる。
「そう・・ショパン作曲、“別れの曲”。あんた知ってんの?」
最初のコメントを投稿しよう!