この音色を風にのせて

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    その瞬間、美桜の目はその男の子に釘付けになった。   風になびく髪。 整った顔。   ヴァイオリンを弾くその姿を“綺麗”と思ってしまえる程だった。       そして何よりもその音色に、美桜はとらわれたかのような感覚に陥った。        「♪♪―♪・・・・。」   ふいに音が止まった。 男の子の目は美桜の方を向いていた。     「・・・・・何?」 冷たい声が店内に響いた。   「あっ・・・あの、今さっきの曲って・・・。別れの曲?」おずおずと美桜がたずねる。   「そう・・ショパン作曲、“別れの曲”。あんた知ってんの?」    
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