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康介が席に着いたあとも、南の心臓は未だにはちきれそうなくらい活発に動いていた。
それと同時に、顔がほてっているのが自分でも分かった。
きっと久々に見たからだ、と言い聞かせながらも顔は赤くなるばかりだった。
(だって・・・どうして?なんで・・・・・あたし・・・。)
ーーーーかっこいいって思っちゃったんだろう。
康介は小・中学校の時からモテてたからかっこいいのは当然だった。けど、南はいがみ合っていたのもあってか、一度もかっこいいと思ったことはなかった。
(なのに・・・・・なんで?)
動揺が隠しきれなかった。勉強をしよう。そう考えても集中することができなかった。
自分がおかしくなったんだと思った。
康介が少し変わっていたから。
ーーーーあの時はそう思ってたんだ。
あまりにも静かで快適だったからか南は寝てしまっていた。外を見るともう空がオレンジ色になりかけていた。
ザワッ
その瞬間、寝てしまった自分に後悔した。
康介のいた席にはもう康介はいなくて、変わりに他の誰かが座っていた。
急いだ。とにかく急いだ。
誰かが非難の声をあげたのも気にならなかった。
バタバタと音をたてて階段を降りていく。
自転車にまたがって今にも踏みだそうとペダルに足をかけた時・・・・
「よっ!」
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