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懐かしかった。
一声聞いただけで、まるで昔に戻った気がした。
「・・・こ・・・すけ。」
驚きで声がかすれた。
今まで1人慌てていたのがバカみたいだった。
「お前が図書館にいるなんてめっずらしーっ。」
康介がニヤッと笑いながら挑戦的に言う。
それすらも南にとっては懐かしくただ微笑むことしかできなかった。
「・・・・・久しぶりだな。」
「うん。久しぶり」
帰りながら話しているうちに、最初のぎこちなさもなくなり、昔のように話せるようになった。
「康介っていっつも図書館いるの?」
「あ?うん。まぁ・・・ほぼいるかもな。」
「ふ~ん・・・さっすが秀才くんは違いますなぁ。」
南が皮肉たっぷりに言った。
「うっせーよ!悔しかったらもっと勉強しろ!・・・まぁお前がどう足掻いたって俺の敵ではねぇけどな。」
フンッと鼻で笑う。
変わってないなぁ。
見た目は少し変わったけど中身はあの時のまんまだ。
「おっ。負けを認めるか?」
「みっ認めてないもんっ!」
普通のこと。
昔は普通だったこと。
今は特別なこと。
何気ない会話がこんなにも楽しいなんて、あの時は知らなかった。
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