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次の日。南は公園に来ていた。
じっとしていても汗が自然と流れるくらいの暑さの中、ただ康介が来るのを待っていた。
「おっす!・・・悪りィな。遅くなったか?」
汗を拭いながら康介が言う。
「・・・うん。遅すぎっ。」
“全然、大丈夫だよ!あたしも今来たところ。”なんてかわいい台詞は南には言えない。相手が康介だったら尚更・・・。そんな自分に嫌気がさした。
「ごめんな!・・・んじゃあ、すっか!ちゃんと投げろよっ!」
そういうと南にボールを渡して向こうに走っていった。
まるで絵の具で塗ったように青い空。
芝生の匂い。蝉の鳴き声。
ボールがグローブにおさまる音。
ただひたすらにボールを投げて、キャッチする。
南が野球が好きだからか、それとも“康介”とキャッチボールをしているからか、そこはよく分からなかったけど・・・・
とにかく今、この時間が幸せだった。
ずっと続けばいいのに・・・ー。
この幸せな時間がずっと続けばいいのに・・・・ー。
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